人間国宝で染織家の志村ふくみ先生ゆかりの「アトリエシムラ」から、3名の講師の先生方をお迎えし、中学生を対象に「桜染め」の特別授業を実施しました。
今回の授業では、校内に育つ八重桜を用いて桜染めを行い、美しい桜色を布にいただきました。事前準備として、生徒たちは綿100%の布に大豆粉によるたんぱく質加工を施し、大豆汁に浸した布を乾かす作業を行いました。
当日は、「自然からどのような色をいただけるのだろう」と期待に胸をふくらませながら、講師の先生方に教えていただいた「蛇腹折り」で布を丁寧に染液へ浸し、火にかけながら優しく揉み込みました。熱で手が熱くなり汗ばむ場面もありましたが、最後に灰汁で媒染を行うと、すっと涼やかな感覚が広がりました。いただいた桜色は、それぞれが個性的でした。
授業の最後には、須永先生より、鉄を使った媒染によって色合いが変化する実験や、植物の実・根などからも黄色や赤といった美しい色を得られることについて、実物を示しながらご説明いただきました。
染め上がった布には、今後、生徒一人ひとりがデザインしたワンポイント刺繍を施し、ランチョンマットとして完成させる予定です。完成後は、日々の昼食時に大切に使用していきます。
事前学習で読んだ大岡信さんの『言葉の力』に登場する「桜染め」を、自然界の五行――桜の「木」、炊き出す「水」、染め上げる「火」、媒染の「土」、乾かす「風」――を通して、五感で体験する貴重な機会となりました。
桜からいただいた色は、木全体のいのちから生まれたものです。桜がその色で美しさを表すように、生徒たちにも、心の奥から美しい言葉を紡げる人へ成長してほしいと願っています。
アトリエシムラの講師の先生方、八重桜を剪定してくださった桐原様、そして準備を支えてくださった中学校の先生方、そして一生懸命草木染めに取り組んでくれた生徒の皆さんに、心より感謝申し上げます。



