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KUNIMOTO GIRLS’ JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL

5月11日朝礼:校長講話

2022.05.14

校長ブログ

全校生の皆さん、おはようございます。5月の朝礼講話の時間です。今朝は、報告やお願いも含めて複数の話題を手短にお話する予定です。 

◇《部活動の報告》 

先ず初めに部活動の活躍の報告です。最初はバスケットボール部です。関東大会東京都予選で強豪校との組み合わせが連続するなか、ベスト16に進出することができました。次に、ソフトテニス部です。同じく関東大会東京都予選の団体戦でベスト4に勝ち進み、個人戦でも谷さん・秋谷さんのペアが準優勝の栄誉に輝きました。併せて、個人戦で5組が関東大会の本戦に出場が決りました。改めて、この機会を利用して、全校生とともに、2つの部の活躍と功績を称え、エールを送りたいと思います。 

◇《お願い》 

さて、新年度がスタートしました。私たちの活動に大きな影響を与えてきたコロナも減少傾向を見せていましたが、ふたたびリバウンドの兆候が現れてきました。先日も、学校内では高3学年を中心にクラスターが発生し、学年閉鎖の措置を講じることになりました。オミクロン株の感染力の強さを改めて痛感させられた出来事でした。言わずもがなのことになりますが、全校生の皆さんには、緊張を緩めることなく、基本的な感染対策の徹底を改めてお願いしたいと思います。とりわけ、昼食時の黙食や教室内でのマスク着用を励行するようにしてください。私たちのちょっとした不注意が感染を招き寄せることのないようにひとりひとりの自助努力や自主的な行動が求められています。 

◇《携帯電話の使用と貴重品管理に関するルールの変更について》 

自主的な行動と言えば、新年度から携帯電話の使用に関するルールを改めました。校内での使用禁止はこれまで通りですが、外での使用に関しては、公共のマナーを守ることを前提に、使用を許可することにしました。携帯機器がもっている機能を適切にかつ有効に活用できるスキルやリテラシーを身に付けてほしいからです。皆さんが社会的ルールやマナーを遵守しながら、携帯の適切な使用法を自主的主体的にマスターすることを期待しています。併せて、学校内では、携帯だけでなく貴重品も各自のロッカーで保管する方法にルールを変更しました。 

携帯の適切な使用といい、貴重品の自己管理といい、求められているのは自主性や主体性です。皆さんの自由裁量が拡大すれば、その分、自己責任が増えるということも自覚してください。なんとなく抹香くさいお説教じみた話になってきましたが、《自由と自己責任》の問題は、実は、次のテーマである成人年齢の引き下げにも関係する問題です。 

◇《成人年令の引き下げについて》 

ご存知のように、私たちの経済活動や消費生活上の契約などに関するルールを定めた民法の成人年齢が4月1日から18歳に引き下げられました。実に146年振りの改定になります。18歳19歳の若者約200万人が適用対象になります。公職選挙法の選挙権年齢はすでに6年前の2016年に引き下げられていますから、今回の民法上の改定で、法律の上では、18歳イコール「大人」という扱いが整ったことになります。簡単に言えば、18歳になっていれば、親や保護者の同意や了承がなくても金銭的な契約ができることになるのです。スタートしたばかりですから、当事者になる高3生も含めて、全校生の皆さんにとっても、まだまだリアリティが感じられないと思いますが、今後のために少しの間、お付き合いください。 

《新たにできるようになること》 

先ず、お手元の裏面の資料に目をやってください。資料の(A)「18歳成人でできること」のデータを見るとすぐに気づくことですが、今回の改定は民法上の変更ですから、8項目のうち5項目が消費生活の契約に関連する項目です。携帯の契約、クレジットカードの申し込み、お金の融資や借金のローン契約、マンション等の契約、これらはすべて契約者本人に支払い能力があることが前提条件になっています。結婚も、カップルが18歳になっていれば保護者の承諾なしでもできるようになります。余談ですが、学校の中に高校生同士の夫婦が誕生する例も、共学校では、あり得ない話ではないのです。また、裁判員に関しては、裁判員裁判の任命が、2023年度からスタートすることになっています。ただし、飲酒・喫煙・公営ギャンブルは引き続き20歳になるまで認められません。 

《引き下げの理由》 

今回の年令引き下げは、少子高齢化社会が進む中で、日本の経済活動が縮小していることが最大の理由であると言われています。要するに、少子化に伴い労働人口が減ると、納税者や消費者が減り、国全体の経済力の衰退化や弱体化を招くからです。そこで、18歳19歳の若者を成人に組み込み、納税者や消費者を増やして、少しでも経済活動を活性化する狙いが、年令引き下げの背景にあるのです。 

《主な経済指標の推移》 

 生産人口の割合(15~64歳) 高齢者の割合 (65歳以上) 出生数 大学進学率 
1995年    69% 15% 118万人 32% 
2020年 59% 29% 84万人 54% 

(注) 2021年の出生数は78万人で第二次大戦後の1947年以降で最小 

ただ、政府や経済界の思惑とは裏腹に、今回の成人年令引き下げの対象になっている200万人の中で働いている人は、実際は少数で、わずか16.5%の33万人しかいません。残りの80%以上の167万人は大学や専門学校等に通っている人たちです。大半が保護者の扶養のもと、学校に通っている立場ですから、「成人」とは名ばかりで、実際には納税や年金負担を免除されますから、経済の活性化にそれほど影響を及ぼすとは思えませんが、若者の消費活動のハードルは下がることになります。 

《当事者の反応》 

今回の改定に対する当事者の若者や、その保護者の感想を示しているのが資料(B)と(C)のグラフです。(B)の円グラフでの「成人になることは楽しみ?それとも不安?」を訊く問いに対しては、パーセンテージの違いは見られるものの、当事者の若者も、その保護者もともに《不安》が《楽しみ》を上回っています。さらに、(C)のグラフ「不安に思っていること」を具体的に訊くと、マルチ商法やクレジットカードの支払いに関する不安を挙げていると同時に、大人になる「実感がわかない」という回答が半分を占めています。実際、アンケートに答えた高校生は、「急に階段を一気に2段飛ばしている感じです」と実感のなさに対する戸惑いを表しています。こうした反応は、心の準備が整わないうちに、いきなり「あなたは大人です」と宣告を受けて、無理やり試合やゲームに引きずり出されて困惑している心理の現れと解釈できます。《不安》は、金銭に関わるトラブルに巻き込まれることへの心配であり、《実感がわかない》は、法律上は経済的に独立した大人として扱われることになっても、実際は親や保護者に扶養される立場に変わりがないからです。 

《問題点》 

結論を言えば、今回の成人年令の引き下げに伴う問題点は、対象になる若者たちが、自分で働いて生活費を稼ぐ《稼得者》本人ではないにもかかわらず(=被扶養者)、《稼得者》と同じ消費上の契約権を与えられ、かつ契約権に対する法的責任も帰せられることに集約できます。しかも当該の若者たちには、自らの支払い能力への不安はあっても、目先の投資話に乗せられ、多額の負債を抱えることになる事例が今まで以上に起こりうるのです。 

《結論》 

皆さんにお願いしたいことは、以下の点です。 

好むと好まざるとに関わらず、《成人》という社会的立場やアイデンティティを与えられることは、法律上、経済的に独立した個人とみなされることを意味します。つまり、自由に経済活動ができる反面、それに伴うリスクや責任を負うことになるのです。例えば《キャッシング》や《リボ払い》等のローンも自由に組めることになるわけですから、お金に関する最低限のリテラシーを社会科や家庭科の授業で学習し、理論武装しておく必要があります。消費者トラブルに巻き込まれたり、多額の負債を抱え込まないようにするためにも必要な知識です。これまでは、民法の《未成年者取り消し権》を使って、保護者の同意のない契約は、取り消すことができましたが、今後は、契約主体である皆さん自身でトラブルを未然に防ぐ用意を整えておく必要があります。「うまい話には罠がある」ことを肝に銘じてください。「あなたはもう18歳、一人前の大人です」という法律からのメッセージと、「私はまだ18歳、大人としては半人前です」という自分の気持ちとのギャップを、さまざまなチャレンジや失敗を含めた経験を通して、心の成長を図りながら焦らずに埋めていってください。これで朝礼講話を終わります。お疲れ様でした。(以上)     (3536字) 

※参考資料 

これからの時代に翔ける
生徒の教育を目指して

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